2017年1月1日から12月31日までの1年間の相続税申告の状況と2017年7月から2018年6月までの1事務年度の相続税調査の状況について、大阪国税局のHPにアップされましたので、まとめてみました。
第1弾の相続税申告の状況はこちら
今回は、相続税の調査の状況についてお伝えします。
調査の状況は税務署管轄のまとめですので、申告の状況とは集計期間が異なります。
税務署は毎年7月から6月までを事務年度として活動しているためです。
大阪国税局
(関西圏)相続税の調査の状況
実地調査件数および申告漏れ等の非違件数
実地調査の対象は、2015年(平成27年)に発生した相続を中心に、国税局や税務署で収集した資料情報から申告額が過少と思われる事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案につき実施されました。
2015年中に申告された案件に対し、実際に調査にくるのが2017年7月から2018年6月までの間ですので、ゆうに2年は経っているものが調査のメインとなっています。
やはり申告後2年から3年は特に気を抜けなさそうです。
実地調査の件数は2,238件(前年度1,954件)、このうち申告漏れ等の非違件数は1,906件(前年度1,667件)で、非違割合は85.2%(前年度85.3%)となりました。
要するに税務署が税務調査に来たら85%の割合で追加で税金が取られてしまう、ということになります。
打席にたてば8割5分のバッターです、、、相手にはしたくないと思うのが自然ですよね。
申告漏れ課税価格
では、いくらぐらいの財産が申告漏れと指摘されるのでしょうか。
その総額は、608億円(前年度589億円)で、調査1件あたりでは、2,717万円(前年度3,016万円)となりました。
前年度より300万円近くも下がっておりますが、それでも平均して2700万円以上の財産の申告漏れを指摘されております。
申告漏れの相続財産の金額内訳
申告漏れが指摘される財産の内訳についてです。
第1位は「現金・預貯金」で249億円(前年度218億円)、
第2位は「有価証券」で69億円(前年度78億円)、
第3位は「土地」で51億円(前年度54億円) となりました。
圧倒的に現金預貯金の割合が高いですね、税務調査の立会いをしていても、ほぼその論点(高額入出金・名義預金など)に注力して調べられますので、やはりというか納得です。
追徴税額
1,000万円の預金の申告漏れが調査で見つかったとしても、1,000万円まるまる税務署に取られていく訳ではありません。
申告漏れ財産分に本来課されるはずだった相続税の本税とペナルティの加算税(延滞税も)分を追加で支払うことになります。
では、申告漏れ財産に対して追加で支払う税金はどの程度になるのでしょうか。
追徴税額(加算税含む)は122億円(前年度123億円)で、調査1件あたりでは544万円(前年度632万円)となりました。
追徴税額の内訳は、本税が107億円(構成比88%)、ペナルティの加算税15億円(構成比12%)となっております。
2,700万円の申告漏れ財産に対して、540万円の税金を支払わないといけないことになります。
その内訳は、上述の構成比で考えると475万円の本税と、65万円分の加算税で成り立っているといえます。
(相続税は累進課税であり、また重加算税等の要素もあるため、あくまで計算上の仮定です)
本税部分については、当初の相続税申告の時点で気づいていたものであれば、当然に支払わなければならないものになります。
ですが、税務調査という大変にストレスの掛かるイベントをこなしたうえに、本税のみならずペナルティとして65万円も追加で税金を支払うというのは、出来れば避けたいものですね。
重加算税の賦課件数
重加算税について非常にざっくり説明すると、意図的な仮装や隠蔽行為によって相続財産を申告しなかったりなど、悪質だと税務署が判断した時に課税されます。
その件数は162件(前年度151件)、申告漏れが指摘された件数のうち8.5%(前年度9.1%)となりました。
まとめ ~税務調査が来るとどうなるの?~
① 税務署が税務調査に来たら85%の割合で追加で税金
② 追加の税金は540万円
③ うち加算税(ペナルティ)は65万円程度
④ 追加の税金のうち8.5%は悪質とされて重加算税
相続税は相続税専門の税理士にしっかり依頼しましょうね!