2019年10月より相続税の電子申告(e-Tax)が出来るようになります。
これまでは相続税は電子申告に対応していませんでした。
なので紙で申告書を出力して相続する人全員から押印をもらい、管轄の税務署に持っていくか郵送で提出するしか方法がありませんでした。
今後は、電子申告(e-Tax)は接続可能なパソコンがあれば、いつでもどこからでも申告が可能になります。
参考:相続税e-Taxの運用開始(本年10月より予定)について
対象
2019年1月1日以降に亡くなられた人の相続税申告
(参考:国税庁作成資料)
メリット(税理士が代理送信する場合)
以下3点になります。
- 相続人が複数いる場合や遠隔地にいる場合でも申告手続きがスムーズにできる
- 相続人の本人確認書類の添付が不要に
- 相続税申告書の控えがデータ管理でペーパーレスに
これまでは相続人全員の印鑑を申告書と委任状(税務代理権限証書)に押してもらい、それをまとめて提出していました。
最終の申告内容説明の時に、相続人全員が集まってハンコをまとめて押してもらえるなら良いですが、ほとんどの場合、全員は揃いません。
なのでいったんお預けしておいて、押印後に返送してもらうのですが、それなりに時間と手間が掛かっていました。
eTaxであれば、事前に相続人から委任を頂いておけば、税理士がすべて代理で提出できます。
また、相続税申告書は添付書類がとても多いのですが、そのうちのひとつである「本人確認書類」などの添付もしなくて良いことになりました。
これまでは「マイナンバーカード」、「免許証」や「マイナンバー通知カード」のコピーを添付して提出していました。
ところがやっぱりお客さまからすると、抵抗があるんですよね。
私でも嫌ですし。
これもe-Taxであれば、添付不要になります。
相続税申告書ですが、先ほども触れたように、添付資料まで含めるとかなりの厚さになります。
不動産が多かったり、非上場株式の評価書なんか挟んでいると余裕で5㎝は超えてきます。
これは申告完了後に綺麗に製本してお客様にご返却しております。
税理士としても、税務署に提出した時の申告書控えに受付印を押してもらったものが大事な証拠になります。
ただ、ずっと置いておくには、やっぱりかなり邪魔になってくるかと思います。
渡すときにも「今後の相続時に役立つので、出来るだけ長くお手元に保管しておいて下さいね」と言っておりますので、下手に触ることもできないですし。
これがe-Taxならば、送信したデータや受付結果などをデータのまま保存しておけるのは、ありがたいですね。
デメリット
(税理士に頼まずに自分で相続税の申告をする場合)
- パソコンが必須
- 事前準備が大変(ICカードリーダー、マイナンバーカード等必要に)
- 相続人全員がそれぞれ手続きをしなければならない
このデメリットは、税理士に頼まずに自分で相続税申告を行う場合のものです。
毎年、確定申告をe-Taxでご自分でされている方であれば、そのハードルは低いかもしれません。
相続人がお1人だけ、しかもe-Tax経験ありであれば、トライしてみても良いかもしれません。
一方、相続人が複数いる場合などは、全員がパソコン操作に明るくてe-Tax経験があるなんてことは考えにくいかと。
税理士にとってのメリットは大きい・・・はず
税理士が代理で相続税申告を行う際には、利便性が高まりメリットが多いように感じられます。
一方、税理士に頼まずに自分で申告をされる際には、パソコンに明るくe-Tax経験がある人でなければ、紙で提出するほうがベターかと。
2019年10月から出来るようになるとはいえ、まだ明らかになっていない部分もあって、具体的な手続きについてはこれから、といった感じです。
例えば、非上場株式の納税猶予の特例(別表8の2など)などは電子申告に対応しておらず、紙での提出となるようです。
遺産分割協議書や印鑑証明書などの添付書類についても、具体的な添付方法などはまだ不明です。
相続専門の税理士としての対応
私は積極的に相続税のe-Taxを活用しようと考えております。
10月以降の申告の方には、随時この案内をさせて頂きます。
相続税申告でお悩み中のかたは、ぜひ一度聞いてみてくださいね。
実際にやってみた記事はこちらです。