【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~雨降って土地評価固まる~

お待たせ!連載再開!

 

前回のハナシはこちら

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~そして伝説へ~ 第10話

 

 

 

・・・・・。

ここは・・・どこだ・・・。

地獄か・・・??

 

とはいえいろんな致し方無い事情もあるのだろうな。。。

 

ティティは冷静を装いながら、そんなことを思っていた。

帰ったら川口春奈に慰めてもらおう。それでお釣りがくるはずだ。

 


 

ここは相続人が一堂に集りし場所(ところ)。

地雷などそこいら中に埋まっている。

残された旅人(相続人)は、母、娘、娘の婿養子。

 

分別のつく大人が罵りあって怒号を散らす。

 

どうしてそうなったんだ??

 

 

「なんでそんな大事なことを母さんに教えてくれなかったのよ!!」と母が喚く。

 

「ちゃんと言おうとしたわよ。でも聞く耳も持たず、こっちの家にも寄り付かなかったのはお母さんのほうじゃない!」と長女。

 

「お父さんとわたしがどれだけ一生懸命になって会社を大きくして、アンタを育てて社会にも貢献してきたか。。。それをそんな仕打ちする子だったなんて!」と母。

 

「義理の息子に10年前にヒドイこと言われたこと、いまだに心のキズになってるんですからね!一生忘れないわよ!義理の息子に会社を乗っ取られてしまったこと、ずっと後悔してるわ!」ふたたび母だ。

 

「いつまで昔のしょうもない話を引きずってるのよ。もう、分かったわよ。ごめんなさい!わたしが謝ればいいんでしょ!」

長女はそう言うと立ち上がり深く頭を垂れようとした。

 

それを制止したのは、それまで黙っていた婿どのだ。

「お前がそんなことをする必要は無い!」

「あなた・・・。」

 

寡黙な婿どのは引き継いだ会社の4代目社長。

誠実で温和な人柄がにじみ出ている。

 

 

「お義母さん!あなた、会社にだって全く来ずに、今まで決算書なんかも見ようともしなかったじゃないですか!それをお義父さんが亡くなったからって、今さら「そんな事聞いてない」では通りませんよ!会社の状況に一番興味無かったのはアナタのほうじゃないですか!それを都合よく会社は私たちが育てたなんて思わないでください!」

 

「あんたみたいな人に会社を任せたのが間違いだったわ。。お父さんのときは素晴らしい会社だったのに。。」と母。

 

亡くなった先代が会社から退いたのはもう10年以上前のことだ。

パっと辞めてあとは義理の息子に一任していた。

そして引き継いだ後の会社は素晴らしい成長を遂げていた。

決算書を見たティティも◎を付ける。

 

「お母さんよ、オレはこの会社の中身を見せてもらったが素晴らしい会社だったぜ。

それは間違いなく婿どのの功績だよ。

それにな、そんなに強い言葉で仮にも身内の人たちを非難するもんじゃない。

言葉はすべて自分に返ってくることになるぜ。」

とティティ。

 

この母は義理の息子のことはいっさい認めない。

それもあって実の娘のことも気に食わないらしい。

 


 

そのあと1時間は揉めただろうか。

相続人たちのガス抜きもひとまず済み、話の中からみんなの関係性や事情などもある程度分かったところでティティが話をまとめた。

 

「そりゃお互いに気に食わないところもあるんだろうけど、

いがみ合うことは旅を終えた先代も一番望んで無いことだろ?

まずはお互いに半歩ずつでも歩み寄って、ソーゾクの作業を進めていこうや。

ほら、外ではこんなに桜もキレイに咲いてるしさ。ちょっと冷静になろうぜ。

 

感情的に罵り合うのは今日でおしまい!

これはみんなに約束してもらうぜ。でないとオレは降りるよ。」

 

 

「ティティ・・・。分かりました。あなたのことを信頼して任せます。」

そう母から言ってもらえたので、ティティにほんのすこし光明が見えた気がした。

 


 

 

ティティの見た家族関係は、

母 (思い込みが激しくひとの話を聞かないタイプ。難しいお人柄だが、幸いティティのことは信頼してくれている)

VS

婿どの (堅実な苦労人の経営者。ただ寡黙すぎるのか、コミュニケーションが得意なほうではない)

まずこの対立があって、

娘 (母と夫(婿どの)の間で板挟みになっている。)

てところか。

 

母と義理婿どのの関係はどうあっても修復不能、こりゃクレイジーダイヤモンドでも治せねえな。。。

 

さてと、これからどうやってみんなにハッピーになってもらおうかね。

しっかし他人が居る前であんだけ感情的になるってのは、やっぱり相続はコワいな。

最近はハッピーな案件に慣れてちょっと油断してた、大反省だ。

 

やっぱりこれも、ちゃんとしたラヴレター(公正証書遺言)が無いからなんだよ。

養子を迎えておいてラヴレターが無いってのは、旅を終えた人の過失だ。

んでそれはちゃんと提案できてないゼーリシの責任でもある

 

ずっと言い続けているが、やはりもう一回言う。

旅を終えるヤツは全員、ラヴレターを残してゆけ。それも公正証書でな。

 

 

さてこの案件をどうまとめるかは、はーちゃんねるを見てから考えるか。

 

 

To be continued…

 

 

ティティの奇妙な話 第1部はこちらから

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ダイヤモンドは相続財産~ 第1話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ダイヤモンドは相続財産~ 第2話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~他人のリュックに勝手にものを入れるのは良くない~ 第3話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~そしてイェンは渡された?~ 第4話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~餅は餅屋に~ 第5話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~最期のラヴ・レター~ 第6話 

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ゼムッショとの闘い~ 第7話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~暦年贈与は300万円~ 第8話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~伝家の宝刀通達6項~ 第9話

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    この記事を書いた人

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    塚本 晃行(つかもと てるゆき)

    公認会計士・税理士
    三木市出身、神戸市育ち、西宮市在住の兵庫っ子。
    1980年生まれ。
    大阪梅田で相続税申告・対策メインの税理士・公認会計士のお仕事をしてます。