【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ダイヤモンドは相続財産~ 第2話

前回のお話はこちら

第1話 プロローグ

 

目次

プロローグ 続き

 

「え?誰?? 誰かは知らんけど、そのバッチは分かる。」

 

「・・・・・・・。」ティティは顔を赤らめる。

 

「貴様、「ゼーリシ」だな!!」

 

ドン!

 

「ふっ、その通りさ。」

 

ドドン!!

 

 

「さっ、そうと分かれば行った行った。」

ティティは1枚の紙をとりだし、おもむろに呪文の詠唱をはじめた。

「我、ソーゾクニンの委任を受けていることを証す!

ゼーリシ法の参拾『ゼームダイリケンゲンショーショ!!」 ちょっとオサレに詠唱した。

 

 

 

 

「ぐわわわ~!」

ゼムッショの者たちはどこか遠くへ飛ばされたようだ。

 


 

「危なかったな。でも俺が来たからにはもう大丈夫だ。」

 

「ありがとうございました。」と残された旅人の後ろ、2列目の旅人は言った。

 

「いや、あなたが俺を呼んでくれたからだよ、「ソーゾクニン」さん。」

 

この世界では、旅を終えた者を「ヒソーゾクニン」、旅のパーティとして一緒に歩いてきた者を「ソーゾクニン」と呼ぶ。

ただ、パーティの全ての者を「ソーゾクニン」とは言わないし、パーティから抜けた者だって「ソーゾクニン」となることもある。

どうやらこの世界のルールとやらで、定められし者がいるようだ。

 

ホームページを見て、良いかも♡と思ったんです!」

 

「へへへ、そいつは嬉しい言葉だね。お安くしておくよ」

ティティはゼーリシの証であるバッチを胸につけているが、わりとカジュアルな恰好をしている。

 

「さて・・・と。んじゃ、さっそく始めっかな。いくら10か月の猶予があるとはいえ、早めに終わらすに越したことはないからな。」

 

そういうとティティは、旅を終えた「ヒソーゾクニン」に向け、姿勢を正して手を合わせる。

そして次に、リュックの中身を確認しだした。

 

「ふむふむ。「イェン」に「フドーサン」とあとは「ホケンキン」か。

問題は「フドーサン」の価値がいくらになるか、だな。ちょっくら現地見て、でっきるだけ低くしてやるからな。この形状だと、、、結構下がりそうだ。」

 

そうしてティティは、ひとつひとつを丁寧に確認し、「ゼーキン」の基準となる評価額を割り出した。

また、同じくらい時間をかけて、「ソーゾクニン」から「ヒソーゾクニン」の話を聞いている

決して「ソーゾクニン」がナカジョウヤアミ似の美人だったからだけではない。

 

 

 

そして、

「「ゼーキン」は・・・・万イェンだな。今回は「フドーサン」の形から、評価が下がったのが良かったな。」

 

「ありがとうございます!私、ひとりでとっても不安で。「ゼーキン」もどうやって払うのかさっぱり分からなかったし、ホント助かりました!

 

やっぱり「ゼーリシ」ティティに頼んでよかった!」

 

「うぃ。そりゃなによりだ。そんじゃ、ま、旅路に気を付けて。「ゼーキン」で困ったことがあったらいつでも呼んでくれな。」

 


 

ティティもまた旅人である。

ティティの横にも伴侶が居て、後ろには2人の小さな子どもがいる。

ティティのリュックは今はまだ小さく軽い。

しかも2人の子どものために、どんどん中身を渡していく。

 

 

 

ティティはいつも思う。

「今回も旅路を終えてからの依頼だった。

それはそれで絶対に必要なものだし、ありがたいことだ。

 

だが、旅路を終える前に出会えたら、もっと、もっと出来ることがあるんだ。

特に2列目3列目が困らないように!

そのパーティが出来るだけ長く繁栄していけるように!

 

くっ・・・。いったい、どうすれば…。」

 

 

 

ティティもまた旅人である。

ティティのリュックが大きく膨らむことになるのは、もう少し先の話だ。

 

 

 

 

To be continued…

 

 

 

つづきはこちら

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~他人のリュックに勝手にものを入れるのは良くない~ 第3話

 

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この記事を書いたひと

塚本 晃行(つかもと てるゆき)
塚本 晃行(つかもと てるゆき)公認会計士・税理士
三木市出身、神戸市育ち、西宮市在住の兵庫っ子。
1980年生まれ。
大阪梅田で相続税申告・対策メインの税理士・公認会計士のお仕事をしてます。