うつ病や統合失調症などの精神病をわずらうと、まともに働けないため生活に困窮します。
それは養っている妻や子どもがなっても同じです。
そこで国としては、さまざまな税金の優遇措置を設けています。
今回はうつ病などの精神病になってしまったときの、確定申告(所得税)の優遇について説明します。
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所得税の障害者控除
本人がうつ病などの精神疾患になってしまったとき
確定申告のときに障害者控除として27万円(特別障害者は40万円)が所得金額から差引かれます。
年末調整のケース
在職中に仕事のストレスなどで、うつ病になってしまうケースは多いでしょう。
この場合は年末調整で会社からもらう「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の障害者の欄の記載をすることで、多くの場合、今まで払っていた税金分の還付を受けることができます。
水色で囲っている箇所です。
確定申告のケース
給与所得者でない、他に医療費控除があるので年末調整していない、などの場合でも確定申告を行うことで控除を受けることが出来ます。
国税庁HP確定申告書作成コーナーでサンプルを作成してみました。
水色で囲っているところです。
54万円となっているのは本人の27万円控除と配偶者の27万円控除の合計です。
結果的に所得が減りますので、その分税金が下がります。
このケースでは黄色囲いのところで、すでに納めていた分から返金されています。
■第1表
■第2表
⑳の欄に障害者控除を受けるひとを書きます。
水色囲いのところです。
妻・夫・子どもなど扶養している人がうつ病などの精神疾患になってしまったとき
同一生計である妻や夫、または扶養している子どもがうつ病になった場合でも、障害者控除として1人あたり27万円(特別障害者は40万円)が所得金額から差引かれます。
また、特別障害者と認定された妻・夫や子どもと同居している場合、1人あたり75万円が所得金額から差引かれます。
扶養している子どもが16歳未満でも適用されます。
(扶養控除が無くても、障害者控除は適用できる。)
申告をする人が会社員など給料を貰っている場合は、年末調整のときに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の障害者の欄の記載をすることで、今まで払っていた税金分の還付を受けることができます。
前述の紙とまったく同じです。
確定申告のときも入力欄が変わるだけですので、説明は割愛します。
精神病での障害者の要件を確認
障害者控除(27万円)の対象
- 精神障害者手帳で2級か3級のひと
- 精神科医に知的障害者と判定されたひと
特別障害者(40万円)の対象
- 精神障害者手帳で1級のひと
- 精神障害により意思・判断能力が常に欠如しているひと
- 精神科医に重度の知的障害者と判定されたひと
国税庁の説明
障害者とは
障害者とは、次に掲げるような心身に障害のある人です。
- 〈イ〉精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人(特別障害者となります。)
- 〈ロ〉精神保健指定医などにより知的障害者と判定された人(重度の知的障害者と判定された人は特別障害者となります。)
- 〈ハ〉精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(障害等級が1級と記載されている人は特別障害者となります。)
- 〈ニ〉身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている人(障害の程度が1級又は2級と記載されている人は特別障害者となります。)
- 〈ホ〉戦傷病者手帳の交付を受けている人(障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は特別障害者となります。)
- 〈ヘ〉原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている人(特別障害者となります。)
- 〈ト〉いつも就床していて、複雑な介護を受けなければならない人(特別障害者となります。)
- 〈チ〉精神又は身体に障害のある65歳以上の人で、その障害の程度が〈イ〉、〈ロ〉又は〈ニ〉に掲げる人に準ずるものとして市町村長、特別区の区長や福祉事務所長の認定を受けている人(〈イ〉、〈ロ〉又は〈ニ〉に掲げる人のうち特別障害者となる人に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている人は特別障害者となります。)
住民税の障害者控除
前年中の合計所得金額が125万円以下であれば住民税は掛かりません。
うつ病で悩んだらまずは障害年金などのもらえるお金を確認しましょう
税金の優遇措置はあくまでも、「減るはずだったお金が減らなくて済んだ」というマイナスを無くす効果があります。
これはこれで知っておくべきことです。
いっぽう社会保障の制度として、「申請すればもらえるお金」のプラスの効果が見込めるものもあります。
その場合はぜひ社労士などの専門家に早めにご相談されることをおすすめいたします。
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