【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ゼムッショとの闘い~ 第7話

 

「来たか…。

 

しっかし分かりやすいな。

リュックに〇億イェン(円)以上か、イェンの出入りが多くて複雑な場合か。

それがほとんどだ。

フドーサン(不動産)やヒジョージョーカブ(非上場株式)なんて目もくれない。

知らないわけではないだろうに。」

 

電話を切ったティティは独り言ちた。

相手はゼムッショ(税務署)。

 

次いつ飲み行く?みたいな付き合いはない。

旅を終えた者のことで聞きたいことがあるそうだ

 

 

 

前回までの話はこちら

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ダイヤモンドは相続財産~ 第1話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ダイヤモンドは相続財産~ 第2話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~他人のリュックに勝手にものを入れるのは良くない~ 第3話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~そしてイェンは渡された?~ 第4話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~餅は餅屋に~ 第5話

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~最期のラヴ・レター~ 第6話 

 

目次

最強の盾(税理士による書面添付)

 

ゼーリシ法33条の2『33ジョーショメンテンプ』(33条書面添付)!」

ドドン!

 

オサレな魔法の詠唱。

ゼーリシ(税理士)にしか出来ないとびきり強力な魔法だ。

 

この魔法を唱えれば、ソーゾクニン(相続人)にバリアを張ることが出来る。

 

バリアとはゼーリシ自身。

要するにゼーリシが全面的にソーゾクニンを防衛(まも)るってわけだ。

 

その分、ゼーリシに課される責任もおおきい。

そのバッチに懸けて嘘偽りなく、

旅を終えた者のリュックの中身はこうだ、と宣言するのだ。

 

ティティはどんな時でもこの魔法を唱える

かならずだ。

 

ゼーリシの中でもこの魔法を唱えるのは、せいぜい5回に1回程度だという。

これでもだいぶん多くなったらしい。

 

だが、ティティは毎回かならず魔法の詠唱を行い、ソーゾクニンの盾となっている。

 

 

ソーゾクニンがババフミカ似の美人だったのは関係ない。

ティティの声が1オクターブ高くなっているだけで、

バリアの効果に変わりはないのだ。

 

 

 

話をもとに戻そう。

 

ゼムッショ(税務署)にて

 

 

「これとこれとこれ、フシギ。

オレタチ分からない。お前知ってるか?」

 

「これは古い置物に使った分だな。

家に転がってたけど、ありゃガラクタ同然だぜ。念も出てねぇ

 

これは3列目の孫の入学祝だそうだ。とくに紙があるわけじゃないんだが、

話の整合性は取れてるんで。問題ないハズさ。

 

これ…は、何だろう?」

 

「ムム。こいつ知らない。ゼーキン(税金)取れそう。トーカツカン喜ぶ。」

ティティがすこし口ごもったので、そんな心の声が聞こえた。

 

 

「あぁ。これはさ、ちゃんとリュックに残した分だぜ。

ほらここ、「アズケキン(貸付金)」が〇〇イェンあるだろ。これの一部さ。」

 

メーギヨキン(名義預金)と言われるものであった。

ティティはすでに先回りして、リュックの中の財産として数えていたのだ。

こちらがちゃんと財産としているものから、新たにゼーキンが取れないのは道理。

 

 

「オレタチ、フシギ無くなった。お前、帰っていい。」

 

「あいよ。お疲れさん。お互いハッピーな世界のために頑張ろうな!」

 

こうして何ごともなくゼムッショのもとから帰ってくることが出来た。

ババフミカ似のソーゾクニンにもう一度会えるのが楽しみだ。

 

 

ゼムッショとの闘い

 

もちろん無傷では無いこともある。

本当によく分からないイェンの流れがある時だ。

 

そんな時は、その一部を少しだけリュックに残ったことにするのだ。

ゼムッショとの駆け引きもある。

それでも、そもそもが不明なものの妥協案なだけに、ほぼこちらの要求は通る。

 

 

ゼムッショとゼーリシだけで話が終わる。

ソーゾクニンはゼムッショには出会わずに、終わることがほとんどだ。

ティティの経験上はまだ出会わせていない。

 

 

全力で張ったバリアを破って、

こちらへやってくるエヴァ初号機のような強者は現れるのであろうか。

 

ティティは思う。

「あれ?それだとオレ使途になっちゃうじゃん。」

 

 

 

そしてまた、まとめ

 

 

ゼムッショもまた旅人である。

かれらもリュックを背負い、旅路を行く。

 

家族が居て、子どももいる。

 

ティティが出会ってきたゼムッショの連中は、話の分かる良い人たちばかりであった。

だれも好んで争うわけではないし、恨まれるのもゴメンだ。

 

 

かれらはいずれゼーリシになることが出来る。

大きく羽ばたくことになるのは、その時だ。

 

 

To be continued…

 

【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~暦年贈与は300万円~ 第8話

 

合わせて読んでみてください。

税理士による書面添付を必ず実施。別途費用も掛かりません。

 

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この記事を書いたひと

塚本 晃行(つかもと てるゆき)
塚本 晃行(つかもと てるゆき)公認会計士・税理士
三木市出身、神戸市育ち、西宮市在住の兵庫っ子。
1980年生まれ。
大阪梅田で相続税申告・対策メインの税理士・公認会計士のお仕事をしてます。