前回までのおはなしはこちら
【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ダイヤモンドは相続財産~ 第1話
【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~ダイヤモンドは相続財産~ 第2話
【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~他人のリュックに勝手にものを入れるのは良くない~ 第3話
【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~そしてイェンは渡された?~ 第4話
邂逅(であい)
「えっ、誰?どちら様ですか…?」オットーはバッチを知らない。それが普通だ。
「……。あ、はじめまして!ゼーリシ(税理士)のティティと申します。」ティティは営業用の声で言った。
「で、そのゼーリシさんが私になんの御用でしょうか?」
「はい!それはイッチローさんから依頼があったからです。」
傍らにイッチローが居た。
イッチローもまた、オットーと同じく悩んでいた。スズッキ一族の末永い繁栄についてだ。
彼は父親オットーのリュックの中身などあてにはしていない。
あれはオットーが自分の力で感謝と信用を集め、その対価として得たもの。
全てオットーとずっと支えてきたオッカーのものだ。
しかし一方で、オットーが旅を終えた時のことも思う。
「ゼーキンか。。。この世界が一定の秩序を保っているのも、広くゼーキンが役にたっているという。ケーサツやショーボー、娘の学校なんかもそう。。。それは理解(わか)る、理解るんだ。」
「でもなぁ、やっぱりゼーキンは痛いや。それは正直な気持ちさ。ティティさん、どう思う?」
イッチローはティティのもとを訪ねていた。
もともと面識はない。それでも、HPで人となりが知れるようなことも公開していたし、いろいろと共通点も多い。
初めて会うわりには、こちらが得られる情報が多く安心できた。
相談は無料(タダ)。イッチローは藁にもすがる思いでメールしたのだ。
「そうだね。やっぱりこの世界のためにゼーキンが必要なのは事実さ。ただね、その広く役に立つものの影響で苦しむ人が居る。その苦しむ人で多いのが、一緒に旅をしてきたソーゾクニン(相続人)。。。これもまた事実なのさ。
イッチローさんはまともだよ、何にも間違っちゃいない。世の中、リュックの中身(遺産)をアテにしてる人間のほうが多いくらいなのに、あんたは偉いと思うぜ。
娘の旦那さんが義父のリュックをアテにしてるケースもある。。。見ていてすこし悲しくなる時もあるよ。」
「そんな人も…。サブロゥはまだましな方なのかも知れない。。」
「サブロゥさんのことはさておき、旅を終えることの問題提起になったのならそれは良かったんじゃないかな。
とりあえず話は分かった。一回オットーさんに会いに行こう。
当たり前だけどオットーさんの気持ちが一番大事だからな。
段取りしてくれないか?」
聞いてからのティティは疾風(はや)い。時計の針は止められないからだ。
「そんな事が…。いや、しかし、それは…。」オットーは少し迷惑そうな顔をしていた。
ティティには理解(わか)る。そしてこう言った。
「オットーさん。あんた、経営(やっ)てる会社の顧問ゼーリシ先生のこと考えているんじゃないかい?」
「はっ?!なぜ、それを??」
「いや、理解(わか)るよ。みんなそうだからな。しかしね。だからこそ、みんな間違ってしまう。」
「どういう事だ?私の会社のゼーリシ先生はその道30年、ずっと会社の成長を間近で見てくれていたんだ。ゼムッショ(税務署)の連中が来た時にも、必死になって戦ってくれた。大恩ある先生を差し置いて、他のゼーリシとは組めぬ。」
「そりゃ、そうだろうな。それが会社のゼーリシさんの仕事だからね。きっとオットーさんと一緒に会社の成長を思って必死に尽くしたんだ。その先生のことは俺も尊敬する。
ただね、俺が言っているのは、そういう次元の話では無いんだ。」
「どういう意味だ?」
「ひと口にゼーキン、ゼーリシさんと言ってもそこには様々な分野がある。この世界と一緒でさ、とにかく広いんだよ。
医者を思い浮かべてみるといい。まさかお腹が痛いときに、歯医者には行かないだろ?それと同じさ。
それぞれのゼーキンに専門のゼーリシさんが存在(い)るんだ。現在(いま)はね。」
「そういうものなのか…。」
「で。俺のような、旅を終える時の一族の繁栄のために尽力(つ)くすゼーリシも存在(い)るってワケ。」
「むぅ…。ならばティティよ。君は何をしてくれるのだ!?
わしのリュックから取られるゼーキンを減らすのが貴様の役目か?」
「いや違うよ。そりゃ結果的には、そうなるケースが多いけどね。
う~ん、やっぱりさ。旅路を終える時にリュックひとつのことで一族がバラバラになったら嫌だろ?
スズッキさんのところだってその可能性はあるんだぜ?
だからイッチローさんが来てくれたんだ。
俺の役目は、リュック(遺産)のことで一族がバラバラにならずに皆がハッピーになるようにすることさ。ゼーキン払ったってハッピーなら良いのさ。
そのために一族に寄り添ってサポートする。出来ることは何でもやる。
で、一族ハッピー、俺もハッピー。最高の仕事さ。」
そうしてスズッキ家はティティと出会った。
ティティはオットー、オッカーとよく話をしている。
この2人が中心だからだ。
もちろん2列目のパーティにも話を聞く。
イッチローの奥さんがヒロセスズ似だったことに、ティティは少しハッピーを感じていた。
To be continued…
つづきはこちら
【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~最期のラヴ・レター~ 第6話
合わせて読んでみてください。
~編集後記~
アメトーークが大好きでした。
2007年頃からハマって、実家で毎週録画してずーっと見てました。
会計士試験時代の数少ない娯楽・息抜きとして、本当にお世話になりました。
3年ほど前からクオリティの低下とともに見なくなりましたが。
今は笑えない。
笑えるようになるのでしょうか?
今日は富樫先生のことに触れたかったのですが。。