こんにちは。
大阪梅田で相続税を専門にしている税理士の塚本です。
お地蔵様や祠、本殿にりっぱな鳥居など。
これら宗教関係のものは寺社仏閣でなくとも、歴史のあるお家などでは、大阪市内でも見かけることがあります。
外側からだれでも拝めるようなものもあれば、塀で囲まれた家の敷地内に親族だけが入れるようなものもあります。
これらは「庭内神し」と呼ばれます。
自宅にそんな場所がある?という方のために、相続税での取扱いを解説したいと思います。
庭内神しとは?
「ていないしんし」と読みます。
「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。
国税庁HPより
平たく言いますと、敷地内にある神様や仏様を祀(まつ)っているもののことです。
信仰の対象は人それぞれですが、なんらかのご神体が存在する必要があります。
地域住民等だけでなく、特定の者つまりその家の人にとって信仰の対象となっていれば、「庭内神し」そのものは非課税の財産になります。
日本には古来より八百万(やおよろず)の神様が居るとされており、信仰の対象は広く解されています。
例えば、ご神木となっている樹木も「庭内神し」になると考えられます。
「庭内神し」の敷地部分は?
「庭内神し」の土台となっている敷地やその付属設備についてはそのままオールOKとはならず、現況を考慮して非課税となるかどうかを判断します。(附属設備とは鳥居・狛犬などのことを指します。)
具体的には以下の3つの要素を踏まえて非課税の判断をします。
- 「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形
- その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的
- 現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面
この3点を踏まえて、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合には、非課税財産になります。
たとえば、鳥居があってそこからご神体の祀っている本尊までが礼拝道として整備され、一体となって機能しており古くからその家の信仰の対象であった場合などは、「庭内神し」のご本尊から鳥居部分までの敷地と鳥居などの附属設備が相続税の非課税財産として取り扱われます。
亡くなる直前などに自宅敷地の大部分を「庭内神し」化して相続税を下げよう、では、この規定があるので通らないものと考えられます。
まとめ
- 「庭内神し」は相続税が非課税
- 「庭内神し」の土地も常識的に判断して信仰対象なら相続税は非課税
- 合理性のない「庭内神し」化での節税は難しい
相続税申告をする際は、よほどのことが無い限り全ての土地の現地調査を行います。
その時に何か少しでも評価を下げられる要因が無いかどうか、そこが税理士の腕の見せ所だと思っております。
自宅の隅にある祠を見逃さないようにするのも、大事な役目ですね。