相続対策、基本のキ!
相続対策というと、どうやって税金を減らそうかの点にまず着目しがちです。ところが、相続を取り巻く問題を考えたとき、実際はそこまで重要ではありません。というよりも、もっと重要なものが2つあります。
「分割」と「納税」です。
キーワードは、
1に「分割」2に「納税」3・4がなくて5に「節税」
です。
【分割】まず「争族対策」【が1番大事】
まずなによりも優先すべきなのは、『残された人が亡くなられた方の財産を巡って争いあうことを避ける』ことです。
『なにはなくとも家族の幸せ』これが1番なのです。
財産が少ないほうが揉めやすいとか、いろいろ言われてますが、財産の多寡に関わらず揉める時は揉めます。
結局のところ、亡くなられた方が存命中には表に出てこなかった相続人のいろんな感情が、相続を契機にして噴出するからです。
争族をおこさせないために効果的なのが、遺言書をしっかり残す、ということです。
そして、日ごろから家族でコミュニケーションを取っておくことでしょう。
遺言書の作成
民法上に細かく規定があるのですが、争族対策としては、以下2点があります。
「自筆証書遺言」・・・遺言書のスタート
「公正証書遺言」・・・遺言書のゴール
です。
他にも内容の秘密が担保される「秘密証書遺言」というものもありますが、手続の煩雑さから、あまり利用されることは無いようですので割愛します。私も携わったことがありません。。。
自筆証書遺言~遺言書のスタート~
文字通り、「自分で書く」遺言書になります。
思い立ったが吉日、その辺にある裏紙やカフェのコースターに書いても(要件さえ満たせば)遺言書として認められます。
遺言書を作ろう、と思った場合は、まずスタートとして1度書いてみることをおススメします。
その要件は、
全文を自分で書くこと(PCダメ、代筆ダメ)
日付を書くこと
自署・押印があること
の3つです。
いかに簡単に出来るかを証明するために、今、書いてみました。
どうですが、この手軽さ!そして内容!! ……。
公正証書遺言~遺言書のゴール~
公証人が遺言書を筆記して作成、公証役場に「公正証書」として保管される遺言のことです。
2人以上の証人立会いが必要であったり、費用(財産額によって異なる)が発生するなど、若干の手間がかかります。
その分、公的な書類として強制力を持ち、公正証書遺言の記載内容に沿った財産分割が可能となります。
ただし、それでも相続人の遺留分の権利については優先されるため、遺留分を意識した遺言書を作成する点に留意してください。
遺言書のゴールと書いたとおり、争族対策を考えておられる方は、まずは公正証書遺言の作成を目指しましょう!
【納税】つぎに「納税資金」【が2番】
争族対策をケア出来れば、次に考えるべきなのは
『手持ちのお金で税金が払えるのか』です。
相続税は現金一括納付!が原則
相続税は通常、亡くなられてから10ヶ月以内に、現金(金銭)で一括払いが原則になります。
それが難しい場合は、延納になり、それもムリなら物納といった方法もあります。ただ、延納は利息が高金利であったり、物納はそもそもの要件が難しいなどの面があり現実的では無いといえます。(物納はH29税制改正で上場株式が第1順位として認められました。上場会社創業家にとっては、もしかすれば希望の光になるかもしれません。)
参考 国税庁HP 相続税の申告と納税
現金化に時間のかかるものは早めに売却しておく
相続税の節税とは相反するのですが、優先順位としてはこちらが先です。
その最たるものが、
「負動産」・・・ほとんど使わない土地、山林など。
です。
「不動産で持っておいた方が、評価額が低い分相続税も安くなって有利!」といえるのは、相続発生後速やかに売却できる土地だけになります。
相続発生後に不動産を売却した時の税金で「取得費加算」の特例(要するにちょっとだけ税金が安くなる)が使えるからといって、そのために現金化できるチャンスをみすみす逃してしまうのは、非常にもったいない行為といえます。
【節税】最後に「相続税節税」【が3番】
ここまで目途がついて、はじめて節税『次世代に出来るだけ財産を多く残そう』を考えます。
ただし、2番目に重要な『納税資金の確保』と相反するような策を講ずるときは慎重にすすめるべきでしょう。
まとめ
相続対策におけるキーワードは、
1に「分割」2に「納税」3・4がなくて5に「節税」
「分割」とは、
『残された人が亡くなられた方の財産を巡って争いあうことを避ける』こと。
「納税」とは、
『手持ちのお金で税金が払えるのか』です。
最後に「節税」
『次世代に出来るだけ財産を多く残そう』です。