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プロローグ 続き
「え?誰?? 誰かは知らんけど、そのバッチは分かる。」
「・・・・・・・。」ティティは顔を赤らめる。
「貴様、「ゼーリシ」だな!!」
ドン!
「ふっ、その通りさ。」
ドドン!!
「さっ、そうと分かれば行った行った。」
ティティは1枚の紙をとりだし、おもむろに呪文の詠唱をはじめた。
「我、ソーゾクニンの委任を受けていることを証す!
ゼーリシ法の参拾『ゼームダイリケンゲンショーショ』!!」 ちょっとオサレに詠唱した。
「ぐわわわ~!」
ゼムッショの者たちはどこか遠くへ飛ばされたようだ。
「危なかったな。でも俺が来たからにはもう大丈夫だ。」
「ありがとうございました。」と残された旅人の後ろ、2列目の旅人は言った。
「いや、あなたが俺を呼んでくれたからだよ、「ソーゾクニン」さん。」
この世界では、旅を終えた者を「ヒソーゾクニン」、旅のパーティとして一緒に歩いてきた者を「ソーゾクニン」と呼ぶ。
ただ、パーティの全ての者を「ソーゾクニン」とは言わないし、パーティから抜けた者だって「ソーゾクニン」となることもある。
どうやらこの世界のルールとやらで、定められし者がいるようだ。
「ホームページを見て、良いかも♡と思ったんです!」
「へへへ、そいつは嬉しい言葉だね。お安くしておくよ」
ティティはゼーリシの証であるバッチを胸につけているが、わりとカジュアルな恰好をしている。
「さて・・・と。んじゃ、さっそく始めっかな。いくら10か月の猶予があるとはいえ、早めに終わらすに越したことはないからな。」
そういうとティティは、旅を終えた「ヒソーゾクニン」に向け、姿勢を正して手を合わせる。
そして次に、リュックの中身を確認しだした。
「ふむふむ。「イェン」に「フドーサン」とあとは「ホケンキン」か。
問題は「フドーサン」の価値がいくらになるか、だな。ちょっくら現地見て、でっきるだけ低くしてやるからな。この形状だと、、、結構下がりそうだ。」
そうしてティティは、ひとつひとつを丁寧に確認し、「ゼーキン」の基準となる評価額を割り出した。
また、同じくらい時間をかけて、「ソーゾクニン」から「ヒソーゾクニン」の話を聞いている。
決して「ソーゾクニン」がナカジョウヤアミ似の美人だったからだけではない。
そして、
「「ゼーキン」は・・・・万イェンだな。今回は「フドーサン」の形から、評価が下がったのが良かったな。」
「ありがとうございます!私、ひとりでとっても不安で。「ゼーキン」もどうやって払うのかさっぱり分からなかったし、ホント助かりました!
やっぱり「ゼーリシ」ティティに頼んでよかった!」
「うぃ。そりゃなによりだ。そんじゃ、ま、旅路に気を付けて。「ゼーキン」で困ったことがあったらいつでも呼んでくれな。」
ティティもまた旅人である。
ティティの横にも伴侶が居て、後ろには2人の小さな子どもがいる。
ティティのリュックは今はまだ小さく軽い。
しかも2人の子どものために、どんどん中身を渡していく。
ティティはいつも思う。
「今回も旅路を終えてからの依頼だった。
それはそれで絶対に必要なものだし、ありがたいことだ。
だが、旅路を終える前に出会えたら、もっと、もっと出来ることがあるんだ。
特に2列目3列目が困らないように!
そのパーティが出来るだけ長く繁栄していけるように!
くっ・・・。いったい、どうすれば…。」
ティティもまた旅人である。
ティティのリュックが大きく膨らむことになるのは、もう少し先の話だ。
To be continued…
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【遺産相続冒険譚】ティティの奇妙な冒険 ~他人のリュックに勝手にものを入れるのは良くない~ 第3話