現役世代で財を成したかたや代々のお金持ちのかたで、将来の相続税を心配されて少しでも早い時期から節税策を考えられるかたがいらっしゃいます。
いっぽうで、大病を患ったり、明らかな体力・気力の衰えを感じて、比較的遅い時期(80代以降)から節税を考えられるかたがいらっしゃいます。むしろその方が多数派でしょう。
即効性のある節税策として、「教育資金贈与」や「住宅取得資金贈与」など一時で多額の贈与が出来ることもあるのですが、タイミングが合わず活用できないこともあるかと思います。
今回は、そんな時でも暦年贈与を諦めずに、一日でも早くはじめてみて下さい!ということを言いたいと思います。
節税の王道 生前贈与
相続税の節税で王道といえるのが、生前贈与でしょう。
暦年贈与といわれ、貰う人が1年間で110万円までなら贈与税もかからずに財産をあげることができます。
10年かければ1,100万円の財産を移転でき、それだけ相続財産が減ることになります。
しかも、あげる人が3人いればその3倍の効果を生み出します。
3年内の贈与は無かったことに(110万円以下でも)
いっぽうで相続税の規定には相続開始前3年内贈与加算というものがあります。
亡くなる3年前の日までに行われた相続人への贈与を計算上はなかったことにして、相続財産に足し戻す規定になります。なんでこんな規定があるかというと、自分の死期を悟った方がとにかく贈与をしまくって、相続税を過度に減らすことを防止するためです。
加算するのは贈与税のかからない110万円以下であっても対象になりますので、相続税申告の際も注意して確認しなければいけないところになります。
相続税申告の際に最も注意すべき点とは?この記事も読んでみてください。
預金通帳をしっかり見ない税理士はダメ!税務署も100%見ます。
相続人への暦年贈与であっても、亡くなる10年前からであれば直近3年分は効果が出ないため、7年分が有効ということになります。
あなたはもっと長生きできる
ここで冒頭にもどって、相続対策を考えておられる方がいらっしゃるとして、いくつまで生きられるのでしょうか。
正確な寿命は神のみぞ知るところではありますが、一応の指標として平均寿命という言葉があります。
平均寿命は男性が81歳、女性が87歳(2017年。厚生労働省発表。以下のデータも同様)。これをなんとなく意識していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
あるいは、自分の親が死んだ年などを意識される方もいらっしゃると思います。
でも実際は全然違うんです。もっと長生きできるのです。
よくある誤解として、「平均寿命は亡くなられた方の平均年齢」では無いのです。
正確には「0歳の平均余命」であって、「今年生まれの赤ちゃんが(前提が変わらなければ)あと何年生きられるかの平均値」ということになります。
医療の進歩や健康意識への変化で、この平均寿命は伸び続けています。
そのため「各自の年齢の平均余命」で考えるほうがより実態に近くなります。
80歳の人の平均余命は男性で約9年、女性で約12年
今年80歳の男性が相続対策をやろうと思ったときに、平均寿命の81歳を意識しすぎて「あと1年しかないので、生前贈与をしてもムダなのかも。。」と思われるのは早計です。
実際に平均余命では、あと9年は対策のための時間が取れることになります。
しかも、5年経って85歳のときの平均余命は残りの4年ではなく、なんと約6年3ヶ月ありますので、「あと4年か。。」と思っていても、さらにその年になれば余命も伸びているのです!(現在と同じ前提であれば。実際にはその時に応じて変動しますが、伸びる可能性のほうが高いでしょう。)
85歳を過ぎてきても遅すぎるということはなく、まだまだ対策に時間を取れることがお分かりいただけたでしょうか。
とはいえ生前贈与を考えているのなら1日でも早く実行したほうが良い理由
暦年贈与は、その年の1月1日から12月末日までを1区切りにして計算します。そのためか、ほとんどの人は締切りの12月に現金などを贈与されます。
ところが、本来は1月初旬に、というより思い立ったら1日でも早く贈与をされることを私はお客様にはお勧めしております。
これは前述の「相続開始前3年内贈与加算」の規定が、年間が基準ではなく3年前の日(応当日)となっているためです。要するに3年と1日でも経っていればこの規定から逃れられるとなるので、生前贈与での節税が可能となります。
贈与も大事ですが、自分が楽しんでお金を使うほうがもっと大事
繰り返しますが、平均寿命も平均余命も医療の進歩とともに伸び続けています。
「ここがゴールかな」と思っていきていても、それ以上に生きられることはほぼ間違いないと思われます。
「余生と思っていたら、こんなに長く続くなんて」と思わずに、まずはご自身の人生をもっと輝かせるために、ご自分のためにお金をしっかりと使われることをお勧めします。
それでも余りそうと思われるかたは、贈与をして次の世代の笑顔につなげていってください。