相続税専門の税理士が『いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」』を読んで感銘を受けた理由

世の中には保険商品が身近にたくさんあって、テレビCMの画面からもあふれてくるぐらいあります。

この記事を読んだ方でも何かしらの保険には入っておられる方も多いでしょう。

 

ところが私はなんの保険にも入っていません。

あえていうなら住宅ローンの団信(団体信用生命保険)と車の任意保険くらいでしょうか。

 

万が一のときでも健康保険とすこしの自己資金で賄えるはず、と考えているためです。

そのため、家が火災で無くなってしまったり、車の事故で人を傷つけてしまったり、と本当に取り返しのつかないであろうことに対してだけ保険を掛けるようにしています。

 

で、そんな私が興味深い本を読みましたので、その紹介を少し。

『いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」』 講談社

著者は2人で、後田氏は元々生保会社などで保険商品をバリバリ売っておられた方ですが、生保営業マンが顧客の利益を損ねていることに疑問を感じて独立された方で、永田氏は医療情報学・医療経済学を専門とする大学教授の方とのことです。

冒頭書いたように、テレビCMからあふれてくるということは、少なくともテレビでは、保険について絶対に不都合なことは言いません。この本はテレビでは分からない真実をあきらかにし、業界のタブーに切り込んだものとなっておりました。

目次

ざっくり本の内容

本の内容を私なりに要約すると、

・公的な健康保険が最強なのでそれだけでOK

・民間の保険商品で検討するなら子育て現役世代の死亡・長期就業不能に対しての保険だけ。がん・介護・貯蓄型の保険はムダ。

相続対策に終身保険は有効

の3点です。

生保会社が保険料を何割か抜く、騙されるな等の強い言葉ですこし強引に保険会社や商品を悪く見せようとする意図はあるかなと思ったのですが、それでも共感できる部分も多かったです。

一般論としても不安を煽るセールストークというものは効果的で、それが命に関わることならなおさらかと思います。

因みに、税金の優遇としては、所得税の生命保険料控除というものもありますが、覚えている限り記載されてなかったかと。

実際、支払った保険料に対して減る税金の額は一般の所得水準の方であれば、数千円から数万円程度と、支払う保険料そのものを考えれば、その効果は低いためかもしれません。

所得税の節税効果のために、その何十倍もの保険料を支払うことは本末転倒ですね。

 

この本は、私が今まで言葉に出来ずにもやもやしていたものに、言葉と説明をうまく当てはめてもらえた感覚で読むことができました。

 

死亡保険金の非課税枠

要約にも書きましたが、相続対策に終身保険は非常に有効です。そのためだけでも入る価値がある、といっても過言ではありません。

それは相続税の特例として以下の非課税の枠があるからです。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

 

相続人が妻と2人の子どもの合計3人だった場合1,500万円までは非課税で財産の移転が可能になります。

この時の相続税の実効税率が30%だったとしますと、実に450万円もの税金の圧縮が可能になるわけです。

また、相続発生後、本人の手続きのみでスムーズにお金の受取が可能なため、急にお金が必要になった場合でも困りません。

死亡保険は、遺産分割協議・遺言書等の範囲外のやり取りとして取り扱われているためです。

 

大阪の梅田中央税理士事務所では、生命保険金の非課税枠を活用した相続対策を積極的にご提案しております。

それ以外の保険商品は、基本的にお客様が望まれない限りご提案はしておりません。

 

相続対策には他にもさまざまな方法があります。

将来が不安なかたは安易に保険商品に手を出す前に、ぜひ一度、弊社にご相談ください。

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この記事を書いたひと

塚本 晃行(つかもと てるゆき)
塚本 晃行(つかもと てるゆき)公認会計士・税理士
三木市出身、神戸市育ち、西宮市在住の兵庫っ子。
1980年生まれ。
大阪梅田で相続税申告・対策メインの税理士・公認会計士のお仕事をしてます。