純金(インゴット)を相続財産として隠さずちゃんと申告すべき5つの理由

相続税の申告のお仕事をしていると、わりと見かけるのが純金(インゴット)です。

金地金(きんじがね)ともいいます。

これがですね、あんまり相続人のかたがたは申告したがらない、といいますかぶっちゃけバレないように出来ませんかね、といった相談を受けることもあります。

当然ですがそういった行為は脱税にあたり、税務署に見つかれば重加算税の対象にもなりますので、隠すことは絶対におススメできません。

 

でも、なんで純金を隠し持っていることが税務署にバレてしまうのでしょうか。

その理由を5つご説明します。

 

目次

相続人の出金履歴で分かる

税務署は、相続税の税務調査に入る前に被相続人(亡くなった方)と相続人の預金の入出金履歴を調べます。

過去10年分は調べられると思ってください。

これは金融機関に保存している履歴データが最長10年間なためです。

 

純金1kgのバーを購入しようとすると、大体500万円くらい必要になります。(※2019年5月現在)

で、預金から500万円を引出して購入していたとすると、出金の履歴が残ります。

 

税務署はその出金の使いみちを、根掘り葉掘り確認してくるわけです。500万円も引出していれば、何かしら価値のあるモノを買ったのでしょう、と。あるいは引出したままであれば、その現金を申告してくださいね、と。

 

「知りません。」だけで通用するほど税務署も甘くはないです。必ず何らかの矛盾点を見つけ出してきて、追求し、最終的には金の存在をあぶり出してくるわけです。

 

シリアルナンバーが入ってて紐付けられる

田中貴金属や三菱マテリアルなどの大手の純金取扱い業者では、品質保証や盗難防止などの理由から、金地金に直接シリアルナンバーを刻印してます。

これは当然、購入者と紐付けられており、万が一、税務署から照会をかけられたら一発でいつ、だれが買ったか解ってしまいます。

仮に相続人名義で買っていたとしても、その購入原資を問われますので、亡くなられた人のお金であったとすると、やはり、相続財産として税金が掛かります。

 

税務調査で見つかったら最大40%もの重加算税がかかる

隠し通せると思っていたがやっぱり証拠を固められて見つかってしまった、となった場合、かなり高い確率で重加算税の対象となります。

重加算税とは、仮装隠蔽(騙してやろう、隠してやろう)の行為があった場合にかされる罰則的な税金で、最大40%(無申告の場合。申告していても35%)もの税金が掛かります。

当然ですが、他に本税(もともと払わないといけなかった相続税)と延滞税(納期限に間に合わなかったことによる利息)が掛かります。

通常、延滞税は最長1年分しか掛からないことになっているのですが(そうしないと、税務調査を遅らせるだけで延滞税が増える、という理不尽なことになるため)、重加算税の場合は1年を超えて延滞税が掛かってきます。

因みに延滞税の税率は、納付期限より2ヶ月間は2.6%(2019年の場合)、3ヶ月以降は8.9%(同)ですので、かなり高利息となっております。

 

売るとき困る ①売った情報は支払調書で税務署に伝わる

万が一、相続税の調査時に隠し通せたとしても、その後売って現金化するときに困ることがあります。

売買の情報はその貴金属買取業者から、税務署に流れていくのです。

これは、「法定調書(支払調書)」という制度で、文字通り法律で提出が義務付けられたものになります。

 

税務署がその情報をもとに、「なぜあの人が純金を持っていたのかな」ということをあらためて調査する可能性があるのです。

 

売るとき困る ②売却益が出たら確定申告が必要

純金の売買で得た利益は「譲渡所得」として確定申告が必要になります。

譲渡所得とは、売ったときの価格と買ったときの価格の差額で利益が出ていれば、その一部を税金として払わなければならないものになります。

で、相続で引き継いだ財産というのは、その買ったときの価格も亡くなった人が買ったときのを引き継ぐことになってます。

そこで、亡くなった人の購入価格を記載すれば、相続財産として譲り受けたもの、ということが情報として紐付く可能性があります。

ということは、相続税の申告書にも財産としての記載がないとおかしなことになりますよね。相続人の名義財産だったとしても然りです。

 

そういったことを端緒にして、税務署に知られてしまう可能性があります。

 

 

 

やましい気持ちで毎日を過ごすのはもったいない

そういった可能性のことを考えて、やましい気持ちで毎日を過ごすくらいなら、いっそ最初から一点の曇りも無いように適切な申告を心がけるほうが、よっぽど前向きではないでしょうか。

税金逃れで一時は安く済んだとしても、いずれそれ以上に大きなツケを払わされる可能性もあります。

 

 

純金(インゴット)があれば、隠さずにちゃんと申告しましょうね。

 

梅田中央税理士事務所では、全件で税理士による書面添付制度を採用しております。

書面添付をするからには、法の定められた範囲内で最も税金を低くするように最大限の努力を行っております。

やましい事無く税金を抑えたい方は、ぜひ一度ご相談ください!

 

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この記事を書いたひと

塚本 晃行(つかもと てるゆき)
塚本 晃行(つかもと てるゆき)公認会計士・税理士
三木市出身、神戸市育ち、西宮市在住の兵庫っ子。
1980年生まれ。
大阪梅田で相続税申告・対策メインの税理士・公認会計士のお仕事をしてます。