銀行(証券会社)紹介の税理士に相続税申告を頼むメリットとデメリット

相続税の申告を銀行や証券会社の営業担当者の紹介を受けた税理士に頼まれる方も多いかと思います。

私も以前大手税理士法人相続部にいたときは、結構な件数を銀行などの金融機関からの紹介で担当しておりました。

銀行から紹介してもらったお客様は、紹介という性質もあってか面談からの成約率は100%でした。

当たり前ですが税理士を選択する権利はお客様にありますので、断ろうと思えば断れるのですが。

 

そんなに銀行紹介の税理士が本当にお客様にとって良いのでしょうか。

銀行や証券会社のしがらみが無くなった今、あらためてメリットデメリットを述べてみます。

 

 

目次

銀行紹介税理士の良い点

大手税理士法人が担当するので安心感がある

銀行から紹介される税理士はほとんどの場合、大手の税理士法人になるかと思います。

銀行は、信頼感や任せて安心、といったイメージを最も大事に考えているため、税理士側にも大手の看板が求められるのでしょう。

面談時にきれいな会社紹介パンフレットを携えて、従業員何百人で全国展開してます、といった説明があると、大手なのできっとしっかりと税務申告を行ってくれる、と思うわけです。

事実、大手税理士法人には自社のノウハウや管理体制が構築されているため、相続税申告のクオリティは担保されています。

相続税を専門にしていない中小規模の税理士事務所に頼むより、よほど信頼できます。

そこは安心してください。

 

面倒な手続きは全て銀行がやってくれる

銀行などの紹介を受けるお客様は、面倒な相続手続きをまとめて代行してくれるから頼んでいる、といった方も多いです。

たしかに、銀行の口座解約・変更や不動産登記、相続税申告をコーディネートして、必要資料もある程度は銀行が代行して集めてくれるため、相続人の負担は減るでしょう。

お客様のなかには、平日は毎日バリバリお仕事をされており、それ以外の面倒なことには時間を割けない方も多いため、まとめて任せられるのは大きなメリットに感じられますね。

 

優越感を感じる

銀行は何のつても無い預金者には塩対応です。(実体験です涙)

いつもであれば塩対応だった銀行が一転、親身になって相談にのってくれるわけですから、そこで優越感を感じることが出来るわけです。

大手税理士法人は銀行ほど名の知れたものでは無いかもしれませんが、普通に生活していればまず接点の無いところです。

そういったところに税務申告を任せられるということで優越感を感じる方もいらっしゃるでしょう。

 

相続人が知り合いなどに相続のことを話すときも、「○○銀行や○○税理士法人に全て頼んだから安心だし楽だった。」と、銀行や大手税理士法人と懇意であるように言うこともできます。

 

銀行紹介税理士の悪い点

費用は総じて高い

大手税理士法人は相続税の申告報酬が高めに設定されていることが多いです。

これはどの業界でも大手であればその傾向がありますよね。

大手税理士法人も多くの人数を抱えるため人件費やその看板維持のためにもろもろの費用が掛かることもあってか、相続税申告の費用は高くなっています。

 

そのほかの費用(特に遺言執行報酬)についても、請負う側の業務量とくらべて高額になっていることが多いです。

 

財産が囲い込まれる

銀行や証券会社などの金融機関は、今まで自社にあった財産が相続によって他に流出することを嫌います。(当たり前ですが。)

ですので、相続があったとしても相続人に自社内で口座を作ってもらい、そこに相続財産を入れてもらう様に囲い込むわけです。

紹介を受けている税理士はそのために一役買うことになり、○○銀行や○○証券会社から財産が流出しないように相続人にそれとなく伝えるわけです。

 

急いて事を仕損じるリスクがある

金融機関の営業担当者には厳しいノルマがあります。ノルマは大体、半期ごとに数字を締めて確認します。

そこで何が起こるかというと、税理士の相続税申告がノルマ達成の障害になっている場合、税理士の業務を営業担当者が急かしてくる可能性があります。

 

なんとしても相続税の申告を3月中に終わらせてほしい、という依頼を暗に受けて税理士は忖度することを求められるわけです。

絶対にムリな期限であれば、その旨を銀行担当者に伝えます。

ただ、そうでない場合は、税理士が税務申告を早める可能性があるわけです。

もちろん細心の注意を払って全力で相続税の申告書を作成するわけですが、税理士も人間ですので急かされて仕事をした結果、思わぬミスをしている可能性もあるわけです。

そして、そのミスによる不利益を受けることになるのは、お客様とその税理士法人になるわけです。

 

相続税に本当に詳しい税理士が担当するかどうかは運

大手税理士法人といえど、相続税に本当に詳しい方々ばかりというわけではありません。

もちろん全般的なレベルは高いとはいえますし、前述のように自社のノウハウもあります。

ただ、人数が多いため不慣れな税理士や税理士資格の無い補助者の方が実務を担当されることも多いのは事実です。

また優秀な人ほどすぐに辞めていくのが士(サムライ)業の世界、大手税理士法人といえど人の入れ替えは激しいものです。

信頼に足る税理士があなたの担当になるかどうかは運次第といえるでしょう。

 

 

 

 

紹介されたところとムリして契約しなければいけないなんて事はありません。

やはり自分で調べて納得できる税理士に頼むのが一番良いかと思います。

 

梅田中央税理士事務所を選んでいただける様に日々精進しております。

是非お気軽にご相談ください!

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この記事を書いたひと

塚本 晃行(つかもと てるゆき)
塚本 晃行(つかもと てるゆき)公認会計士・税理士
三木市出身、神戸市育ち、西宮市在住の兵庫っ子。
1980年生まれ。
大阪梅田で相続税申告・対策メインの税理士・公認会計士のお仕事をしてます。