安易なリフォームは危険!?相続税に強い税理士が解説します

今回は税理士の立場から、生前のお家のリフォームが相続税に与える怖い影響について解説します。

悪質なリフォーム業者による手抜き工事とか不必要な工事のことではありません。(それも十分怖いですが、その辺のお話は他の不動産関係のHP等でご確認ください。)

目次

どういうケースが多い?

30年以上前に新婚当初に買った一戸建て住宅などで、子どもも全員成人して巣立っていき、広くなった家に老夫婦が2人で暮らしているケースは現代の日本において珍しくないかと思います。

その場合に、どちらかにそれなりの財産があれば、ある程度のお金を掛けて夫婦で暮らしやすいように最新の暖かい家やバリアフリーにリフォームすることもあるでしょう。

そうして暮らしやすくなった家で、暖かく人生の最期を迎えるのです。

 

しかし、ここで少しだけ税金のことに留意していただきたいのです。

 

お家の名義はどうなってますか?

お家の名義が土地も建物も全てリフォーム資金を捻出される方と同じである場合

よくあるケースとしては夫名義の家に夫自身でリフォーム費用を捻出することでしょう。

この場合は、夫が亡くなった後の相続税申告においてリフォームで家の価値が上がった分を相続財産として計上しなければなりません。

細かくいうと、リフォーム費用のうち、修繕費(痛んでしまった分をマイナスからゼロに戻す分)を除いた資本的支出(お家の価値をプラスにする分)から、相続開始日までの価値減少分(減価償却)を引いて財産的価値を算出します。

 

ほぼ建替えのように床面積まで変わるようなケースでは、市税事務所等の確認があって、固定資産税評価額が増加することもあるでしょう。その場合は、増加した固定資産税評価額で評価することになります。

 

お家の名義と異なる人がリフォーム費用を捻出される場合

お家は奥さま名義あるいは夫婦の共有になっているものの、夫にお金があって妻へのプレゼントとしての意味合いから、リフォーム費用を捻出することもあるかと思います。

また、おしどり贈与の税制を活用して感謝の証としてマイホームをもらい、その後にリフォームされる方もいらっしゃるでしょう。

おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)についてはコチラ

 

その場合は特に注意が必要になります。

リフォーム費用は奥さまへの実質的な贈与とみなされ、贈与税の対象となってしまうためです。(相続税法9条)

贈与税は相続税よりも税率が高く設定されており、また夫婦間であっても相続税のような配偶者控除の規定はありません。

リフォーム代金相当の建物の持分を夫に名義変更して共有とすれば贈与とはなりませんが、そこまでする方も少ないのではないでしょうか。

 

(参考)

国税庁HPタックスアンサー 親名義の建物に子供が増築したとき

 

相続税に強い税理士に依頼しましょう

相続税に精通している税理士であれば、相続税申告時にこの論点を見逃すことは稀でしょう。しかし、相続税にあまり詳しくない税理士さんに頼まれると、見逃されてしまい後の税務調査で痛い目を見ることになります。

 

梅田中央税理士事務所では、①最初の面談時に使用するチェックリストで相続人に確認したうえで、②現地調査時に比較的最近にリフォームされた形跡の有無を目で見て確認し、③預金通帳等の出金履歴からリフォーム費用等が捻出されていないか、の3段階で確認をしています。

 

こちらも見てみてください。

預金通帳を見ない税理士はダメ!

 

先日、相続税の税務調査から依頼を受けた案件で、この論点が指摘されました。税務署側と粘り強く交渉し、何とか最善と思われる結果に落ち着かせる事が出来てホッとしております。

 

リフォーム費用で気になっておられる方は是非一度ご相談くださいね。

 

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この記事を書いたひと

塚本 晃行(つかもと てるゆき)
塚本 晃行(つかもと てるゆき)公認会計士・税理士
三木市出身、神戸市育ち、西宮市在住の兵庫っ子。
1980年生まれ。
大阪梅田で相続税申告・対策メインの税理士・公認会計士のお仕事をしてます。