2017年1月1日から12月31日までの1年間の相続税申告の状況と2017年7月から2018年6月までの1事務年度の相続税調査の状況について、大阪国税局のHPにアップされましたので、まとめてみました。
最近の傾向で、調査の状況が11月に、申告の状況が12月に発表されていたのが、今年はまとめて同日に報道発表されましたね。
(税制改正大綱も同日でしたが、そちらは他の税理士先生に託しましょう)
まずは相続税の申告の状況についてお伝えします。
大阪国税局HP
(関西圏)相続税申告の状況
2017年分の状況
大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県の合計になります。
被相続人数
2017年中に亡くなられた方は約21万人(前年約20万5千人)、このうち、相続税の課税対象となった被相続人は約1万8千人(前年約1万7千人)で、課税割合は8.7%(前年8.4%)となりました。
亡くなられた方の100人に9人程度の方に相続税がかかる計算になります。
2015年に相続税の基礎控除が引下げられて以来、課税割合はゆるやかですが増加傾向であることがみてとれます。
課税価格
課税価格の合計は2兆5,886億円(前年2兆4,324億円)で、被相続人1人あたりでは、1億4,128万円(前年1億4,071万円)となりました。
全体の申告件数の増加に比例して課税価格も増加しておりますが、1人当たり金額でも微増となっております。
相続財産の内訳を確認しますと、有価証券と預貯金の金額と構成比が目立って上昇しておりますが、日本経済が全体として好調だったことから、2,016年末に19,100円程度だった日経平均株価が、2017年末には22,700円程度になっており、このあたりが影響し増加しているかと思われます。
税額
税額の合計は3,516億円(前年3,041億円)で、被相続人1人あたりでは、1,919万円(前年1,759万円)となりました。
被相続人1万8千人に対し相続税を支払った相続人数は約4万人ですので、被相続人1人あたり2人程度の相続人が居る計算になります。(配偶者控除で税額ゼロのパターンがあるので、本来はもう少し相続人は多いはずですが、ここでは一旦無視します)
ですので、相続人1人あたりですと、1,919万円÷2人≒約960万円の税金を支払っている計算になります。
ごく一部の超富裕層の方が大きく平均を引上げているのだとは思いますが、一度に支払う税金としては非常に大きいですよね。
相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、現金・預貯金等33.0%(前年32.8%)、土地30.2%(前年32.3%)、有価証券19.7%(前年18.1%)の順となりました。
上述してますが、有価証券の伸びが顕著です。
土地の構成比が減少しておりますが、これは現金・預貯金と有価証券の割合が増えたためかと思われます。
感想
やはりですが、すべての数字で対前年比で増加しており、社会全体として富裕層への増税傾向が見受けられます。
相続税の課税強化の流れはしばらく続くのではと予想されますので、早めの相続対策というものがどんどん重要になってくるかと思います。
次回は相続税の調査の状況につき記事を書く予定です。こちらと合わせてご覧いただくことで、より相続税にまつわる状況が確認でき、相続税専門の税理士に頼むことのメリットが伝わればと思います。